熊野権現の御子神である熊野九十九王子は、熊野への道しるべとして、そして一服の場として、その道中に設置されている。 実際には九十九箇所でなく、数が多いという意味だそうだ。 今、車でその石碑を探すのは、一苦労する。 というのも、今の車道はもともと街道だったものも、少し離れて作られたものも、まっすぐな2車線の道となり、本来メインロードにあった王子の場所が、今ではすっかりと息を潜めているからである。 ところが、車を置いて、静けさに包まれた裏道のような元街道でこのような王子に出くわすと、思わず当時の情景を目の前の情景に描いてみたくなる。