京から船で八軒屋船着場に着いた一行は、賑やかな大阪の町にどんな心境で降り立ったのだろう。 既に旅は始まっているのものの、もう一度気持ちを改め、自分にひと声かけてこの場所を踏み出したような気がする。 「熊野かいどう」と書かれたレリーフから、道が緩やかに登りとなっていた。 何か待ち受けているか分からぬこの旅は、さっそく目の前に坂が立ちはだかり、視界がきかなかった。